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今日は会社が臨時休業で、お休み中ののんのんです。
今日は飲み会ということで、朝更新しただけで、終わりと考えていたのですが、
思うところありまして、再度更新ですv
さぁ、演奏会の始まりです!
誰の目線で、会場入りしているのかお楽しみ下さい。
では、続きからドウゾvv
43.協奏曲
開演5分前を知らせるブザーが鳴り響いたあと、簡単なアナウンスが流れた。
その間、照明を抑えた舞台上へ、一人、また一人と奏者が出てくる。
自分のチケットを見て、座席ナンバーを確認する。
席へ向かうと、自分の隣にある人物が座っているのに少々驚いた。
その人は、口元に人差し指をあてて、『内緒です』と囁いた。
その様子に苦笑しつつ席に着く。
ホールのちょうど中間辺りの席だった。
まぁ、身内ならこの席を取れるのはわかっていたが、
きっとその配慮をしてくれたのは、今隣に座る人。
本当に、あなたたち遊ばれてるわね?
まだまだ私の遊ばれ方なんてカワイイものじゃない。
クスクス笑っていると、今回一緒にこの会場へ来た人たちに話しかけられる。
独特なしゃべり口調を聞いていると、本当に親子なのねと思う。
自分を心配して、話しかけてきたみたいだが、私が大丈夫と知ると、手にしたパンフレットを興奮気味に覗いていた。
舞台へ視線を移すと、パラパラと壇上へ集まる人たちが自分の決まった席に着いていく。
ほとんどの人たちが席に、立ち位置に着いた頃、薄っすらとライトの光が強くなった。
そうして出てきた人。
コンサートミセスの三木清良だった。
会場へ軽く会釈をしたあと、奏者へ向きかえる。
そのあと、オーボエの特徴ある音が響いた。
その音を奏でる人は、黒木康則だ。
確か、彼の思い人もこの会場に来ていると思い出す。
ぐるりと、会場を見渡すと、あちらも私を探していたようで、目があった。
ニッコリ笑って、手を振ってきた彼女に私も手を振り返していた。
その彼女の周りにも見知った顔がちらほらと見え、同じく私に向かって手を振ってきていた。
オーボエのチューニング音がに合わせて、まず最初に管楽器の音あわせの音が響く。
続いて、弦楽器の音あわせ。
その音に満足するように、清良は席についた。
その隣には、彼女の思い人。
指揮台を挟んで右側へ目を移すと、チェロ奏者の菊池亨が座っていた。
その菊池が舞台袖を見つめ、軽く頷いたように見えた後、皆を立ち上がらせるようなジェスチャーをした。
そして、舞台上の人々が客席側に向かって立ち上がった数秒後。
指揮台の前に用意されたピアノへ、二人が舞台上へ躍り出ていた。
新人ピアニスト----野田 恵。
そして、
指揮者----千秋真一。
指揮者が、ピアニストの手をエスコートしながら壇上に上がってきた。
それを迎えるように、客席全体から拍手の渦が起こった。
ピアノにたどり着いたピアニストを椅子の前まで連れて行き、指揮者は自分の指揮台へ登る。
そして、ピアニストが会場へ向かって45度傾けるお辞儀をしたとき、奏者全体が同じようにお辞儀をした。
その後は、思い思いに席に着き、演奏姿勢を整える。
ピアニストは、席に着く前に私に気づいたようだ。
そして、私の隣に座る困った大人にも。
一瞬ビックリするような顔をしたあと、『しょうがないですねぇ』と聞こえてきそうな顔をして、ニッコリ笑い席に着いていた。
指揮者の方は、全く気づいていないみたいね?
まぁ、どうせピアニストばかり見ていたからでしょうけど・・・。
座り位置を整え、一つため息をする仕草をした。
そして、指揮台を仰ぎ見る。
他の奏者は全員用意が出来たようで、指揮者を見つめていた。
その指揮者が見つめていたのはピアニスト。
ピアニストがどんな顔をしているのかは、ちょうど真正面に座った私からは分からなかった。
けれど、指揮者があまり見せたことがない微笑を湛えていることから、安易に想像できた。
二人の視線が合ったあと、コクリと双方頷きあう。
そして、指揮者の指揮棒が振り上げられ、
その瞬間から魔法の時間が始まった。
シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
皆さんは"音楽の隠し文字"をご存知ですか?
日本語のドレミ・・・音には、それぞれアルファベットでドレミファソラシの順にCDEFGAH(Bはシb)という音名がつけられています。
そのアルファベットを使った、『音楽の隠し文字』と言うものがあります。
例えば、バッハを研究して主題に"BACH"を用いたオルガン曲や、アベッグ嬢にヒントを得たABEGG変奏曲など、音名を使って音楽で文字メッセージを残す音楽遊びの技法です。
シューマンはこの技法を用いて、数多くの作品を残していて、今回の「ピアノ協奏曲」もその一例と考えられています。
第1楽章は、シューマンがクララと結婚した翌年の1841年に作曲されました。
この二人の出会いは、シューマンが18歳の時。
ピアノの師ヴィークのもとにシューマンが通い始めた頃です。
ヴィークの娘クララは幼少期より既に天才として名の通ったピアニストでした。
師の下で、シューマンは彼はピアニストになるべく、必死に練習をします。
しかし、無理な練習が祟り、ピアニストを断念することとなります。
この苦しい時期をクララの支えで乗り切ったシューマンは、作曲家に転向し、クララが18歳の時に結婚の約束をしています。
しかし、クララの父、そしてシューマンの師でもあるヴィークが、結婚に猛反対。
仲を引き裂こうとクララを遠く遣る、連絡を届けさせない等の妨害を施します。
縺れに縺れた結果、遂に裁判沙汰にまでなってしまうのですが、1840年、シューマン30歳、クララ20歳の時、様々な障害を乗り越え二人は結婚します。
翌年、長女誕生というまさに喜びと幸せのさなかに、彼は愛するクララのために「ピアノと管弦楽のための幻想曲」を作曲します。
(この曲は出版社とのトラブルのため出版されていない)
4年後、親友メンデルスゾーンのピアノ協奏曲に感銘をうけた彼は、この幻想曲に手を加え、さらに2・3楽章を書いて「ピアノ協奏曲イ短調」としてまとめあげました。
クララは曲が完成したその日の日記に、
「私は長い間、彼の華麗なピアノ協奏曲を待ち望んでいました。この曲をオーケストラと演奏することを思うと私は女王様のように幸せです。」
と書き残しているそうです。
初演は指揮はメンデルスゾーン、ソロはクララで行われ、結果は大成功でした。
さてこの曲に隠されたメッセージですが、誰に当てた者かお分かりですよね?
愛する人に宛てるメッセージは愛情と優しさに溢れた第1楽章の第1主題の中にほかの人には分からないように隠されています。
シューマンの音楽評論の本でのクララのコードネーム"Chiara"から<音名>を拾う、すると"CHAA"、<ドシララ>となります。
曲の冒頭、ピアノの鮮烈な序奏の直後の優美な木管楽器の主題に登場します。
この動機は第1楽章の中で優しく話しかけているかのように何度も使われているのです。
また、こよなく優しい第2楽章から輝かしい第3楽章の移行部でも(2・3楽章は切れ目なく演奏)再びこの「呼びかけ」が奏でられます。
出会いから10年余り、様々な試練を共に乗り越えてきたクララへの愛しさ、やっとつかんだ幸せへの喜びを
『シューマンの最も愛した楽器・ピアノ』によって繊細にかつ活き活きと歌うような楽曲として完成されています。
シューマンのクララへの愛の深さ、喜びの大きさを肌で感じ取って頂ければ幸いです。
控え室の中のメイク道具やカズオグッズが所狭しと拡げられた机の上。
そこから少し上に目線を移す。
そこには、自分の姿を映した鏡があった。
今日の衣装は、こないだ征子ママと清良さんと一緒に見に行って買ったターコイズブルーのドレス。
以前より少し伸ばしていた髪は、後ろへ纏めるように上へ上げられている。
そのまとめた髪へ、ターコイズブルーのドレスの裾に広がった白いレースと同じ同色の白い花が付いている。
やっぱり、こんな器用なことが出来るのって女の子なんだなと思う。
今日この髪型をやってくれたのは、由比子ちゃん。
メイクは、征子ママ。
「もうっ!皆して黙ってるなんて!私にだけ教えてくれてもいいのに!!」
「由比子ちゃんゴメンなさい・・・。そういう約束でこのお仕事請けたので・・・。」
「でも、征子ママは知ってたじゃない!」
「それは、いちおう真一くんのお母さんですし・・・、色々助けていただきたかったので・・・。」
「私だってデキタモン!!」
「ほらっ、由比子ちゃんそこまで!のだめちゃん困ってるわよ?」
怒りながら、よく作業できますよね?
のだめなんて、髪を切るのは得意ですけど、こういうおしゃれをするのはやっぱり苦手。
久しぶりに会った由比子ちゃんは、大分垢抜けてきて、カワイイ女の子から、キレイな女性へと羽根を広げようとしている感じであった。
そういえば、三善家へ行って帰ってきた真一くんが少し寂しそうな顔をしていたのは、きっとこれが理由でしょうね?
いつまでもカワイイお姫様で居てほしい子が、キレイになっていくのを寂しいなんて思うなんて、お父さんみたいですねぇ・・・。
「言わないと、自分の気持ちが治まらないからだけだから!」
「でも、本当にごめんなさい。本当なら三善家一緒にのだめも行きたかったンデスヨ?」
「来て!!一緒にまた寝よう!!一杯お話ししたいし!!!」
「そですねぇ、そうしましょう。」
そのあとは、アイメイクやらで、動かないで!と言う征子ママに従って、着々と身体を整えられていった。
「ん、完璧!」
「のだめちゃんキレーイ!!」
「・・・なんか恥ずかしいですねぇ~。」
鏡の前に映し出されたのは、いつもより数倍、キレイになった自分だった。
ほぇ~~・・・と見ていた自分に、鏡に映りこんできた征子ママと由比子ちゃんは笑っていた。
「これなら真兄、惚れ直す方に一票!」
「私も同感だわ・・・。あらっ、それじゃ賭けにならないわね?」
「惚れ・・・っって、そんな訳ないですよ!」
「まぁまぁ、いいから。・・・さてと、あらやだ!もう開場してるわ。」
「本当!征子ママ行こう!」
そうね、と言いながら、じゃぁ、素晴らしい演奏を!と言いながら二人は楽屋を出て行った。
しー・・・ん・・・と静まり返った控え室。
防音がいまいちなのか、遠くの方から、オケの人たちの音出しの音が聞こえる。
スッと瞳を閉じて、呼吸をすることだけに集中する。
ドキン・・・
ドキン・・・
心臓の音。
自分の心臓の音が自分の中を巡る。
再び、スッと瞳を開け、机の上そして鏡に移る自分を見つめていた。
廊下に、誰かの靴音が響いて聞こえてきた。
この靴音・・・。
自分がいる控え室の前で止まる靴音。そして控えめなノックの音が響いた。
どうぞと声をかけると、控えめに扉が開かれた。
そこに居た人は・・・。
開場のアナウンスが遠くのほうから聞こえてきていた。
ハンガーに掛けた、燕尾服の上着に手を伸ばす。
髪は、いつもどおり少し上げるようにムースで固めた。
蝶ネクタイの位置を鏡を見ながら再度確認し、上着を纏った。
その燕尾服の胸ポケットには、恵のドレスと一緒の色に近い青いハンカチーフが差してある。
机の上には、今日使う指揮棒。
そして、あいつが着けたカズオ人形のついた不恰好な指揮棒が置かれている。
カズオ人形を人差し指で、少しいじるように触ったあと、本番用の指揮棒へ手を伸ばす。
緊張していないといったら、大嘘だろ。
緊張しすぎて、頭が冷静になっている感じだ。
望んだ共演。
二人で望んで夢に見た共演なのだ。
今回は、絶対成功させなければならない。
マルレオケの初演や、指揮コンの時のような失敗は許されない。
一期一会・・・。
この機会を、逃してしまえば、それを手にするのに大きな遠回りをすることは簡単に理解できた。
そして、今日のために、色々準備してきたことが全て水の泡となる。
それだけは我慢ができない。
いやでも、我慢し続けた身体が、今日失敗したらどうなるかわからない。
はぁ・・・とため息を吐いたところに、コンコンと控えめなノック音が響いた。
どうせ、スタッフの誰かだろうと思っていたから、どうぞと答えた。
そこに入ってきたのは、
「真一?・・・あらっやだ、緊張しすぎで怖い顔になってるわよ?」
「母さん!早く席に着けよ!さっきアナウンスしてたぞ。」
「今から行くわよ。」
怖い顔か・・・。
指摘をうけて、再び鏡を覗く自分の顔。
やっぱり、怖い顔が映し出された。
「全く、・・・ほらっ!のだめちゃん迎えに行くんでしょ?」
「用意できたのか?」
「バッチリよ!私と由比子ちゃんの腕を信用しなさい!・・・化けたわよ。」
ニッと笑う母さん。
それにあわせるように、自分もニッと軽く笑い、
「それは、是非見に行かないと。エスコートするようだしな。」
「ふふふ。そうねぇ、早く行ってあげなさい。のだめちゃんも無理にはしゃいでいるみたいだったから、相当緊張してるわよ?」
指揮棒を持ち、部屋を出る。
会場へ行くには、俺とは反対の廊下を歩いていくことになるから、ここで『じゃぁ』と声をかけた。
「ええ、素晴らしい音楽を・・・。・・・・・・本番前なんだから、我慢しなさいよ?」
「ばっ!何をだ!」
「孔雀の羽は閉まっておきなさいよってことよ。クスクスクス・・・」
ターニャのやつ・・・。
一番厄介な人に・・・。
「でも、本当よ。我慢しなさい。」
「?」
「だから、すごい化けてるからってことよ。」
じゃあね。といって俺と反対側の廊下を歩いていく母さんの背中を見つめた。
それを途中で見限り自分が向かう部屋へと向かった。
「真一くん・・・。」
「恵・・・。」
目の前にいたのは、最愛の人だった。
いつものように燕尾服をカッコよく身に着けた真一くんが立っていた。
部屋へ入ってきた真一くんは、ビックリしたようにのだめを見つめていた。
「これほどまでとはな・・・。」
「えっ?何?」
「いやっ、何でもない。」
ごにょごにょと話始めた真一くんは、慌てたように顔を背けてきた。
「似合いませんか?」
「いや!違う!・・・違うんだ。・・・似合ってる。」
「ホントですか?ウキュ~~嬉しいです。」
「似合いすぎ・・・。」
「ギャッ!」
「かわいい・・・。」
「ハギャ!」
「キレイだ・・・。」
「・・・何の冗談・・・。」
そういいながら、立ち上がったのだめを真一くんは手を伸ばしてきた。
そしてきつく抱きしめられた。
冗談なわけないだろ・・・。
「本当だから、・・・きれいだ。」
「ハゥ~~~・・・」
再びきつく恵の身体を抱きしめた。
抱きしめた体からは、ほんのり花の匂いがした。
髪につけた髪飾りの花が生花だというのが分かった。
本当に母さんの言うとおりだな・・・我慢するのに結構気力がいる・・・。
そんなことを考えた瞬間、さっきまでの緊張が嘘のように引いていくのを感じていた。
俺は、恵の心臓の音を・・・
のだめは、真一くんの心臓の音を・・・
抱きしめた人の身体に巡る音に集中する。
しばらくしたあと、俺の胸から顔をあげた恵が俺を見上げるように見つめてきた。
その目を俺も見つめ返した。
緊張しすぎの顔ではない。
そして、自分も緊張しすぎてはいない。
それを確認し、ニッコリ微笑む恵に釣られて、自分も微笑んだ。
「行くか?」
「はい!」
「楽しい音楽の始まりだな?」
「はい、始まりデス!」
手を取り、恵をエスコートするように控え室を出て、舞台裏へ向かって歩く。
その間に、二人で交わされる会話はなかった。
ただ、舞台へ出る前に、恵の瞳を見つめた。
それを恵は、静かに答えて、俺を見つめた。
二人同時に頷きあい、舞台の光へと向かって歩き出した---。
はい、何の予告もなしに、演奏会の開演です。
本当は今日書く気なかったんですけど、
書かないと、今日の飲み会で忘れそう!ということで、急遽更新です。
楽しんでいただけたなら、嬉しいです。
いちおう、会場に行ったような感覚で楽しんでいただけるように書いたんですが、いかがだったでしょうか?
感想あれば、コメントでお願いします。(っていうかむしろコメントは渇望中!!!)
では、引き続きお付き合いの程を、このまま終わりませんよ☆
次回をお楽しみにvv



楽しんでいただけているみたいでうれしいですvv
わぁ~!サックス奏者さんなんですね?ネコさんは!
かっこいいですよねぇ~!あの木管とも金管ともいえない音私も好きですvv
私が書こうとしていることを感じ取ってくださっているみたいで感謝でいっぱいです。
引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします!!
いよいよ開幕ですねvvv
いつでも二人で共にあるからこそ
安らぎ,信頼がえられるんですね!
どんなことも乗り越えられ 多くの人に与えられる
始まりの舞台裏から あふれ出てますね~~
42での ノダメのコメント,千秋の写真に嫉妬も
グフフ ニヤニヤしながら読みました!!
寒い日が続きますが,体調を崩さぬようがんばって下さい
グフフフフ・・・(気持ち悪い笑い・・)
のだめの写真に嫉妬する真一くん。
まぁ、本誌の方でもありそうな感じ?かなと思って入れてみました。
(特に、ミルヒーと共演あとぐらいとか雑誌とかにも載ったと思うし・・・)
楽しんでいただけたみたいで嬉しいです。
まだ、少しこのお話は続きそうです。
引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします!