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まぁ、しちゃいますけどvv
第5弾投下~!
閉じ込めようとするのだめちゃんに、
心に何か芽生え始めている真一くん。
そんな真一くん目線でお送りします。
では続きからドウゾvv
6.
それから、しばらく俺は家でののだめと、学校でののだめを観察することになった。
しょうがないだろ、あいつはいい意味でも悪い意味でも、目立つ・・・。
朝、起床してリビングへ向かうと、
「おはようございます、真一様。よくお眠りになられました?」
そう言って、朝日の中キラキラ光る笑顔を浮かべながら、俺に話しかけてくるのだめ。
また、ドキッと心臓が跳ねる。
「あ・・・、おはよう・・・」
お茶が入りましたのでどうぞ。とカップを俺の食卓へ出している。
その姿を、ジッと見つめていると、
「おはよう~。真兄」
「お兄ちゃま、おはよー」
そう言って、俊彦と由比子が起きてきた。
必然とのだめはその二人にも話しかける。
笑顔をニコニコと振りまき、カップへお茶を注ぐ。
やっぱり、昨日思ったとおり、いつの間にかこの家の中心にのだめがいるらしい。
気難しい由比子、人見知りの激しい俊彦が、すんなりのだめが家の中にいるのを認めている。
ましてや、今日学校帰りに遊ぶ権利を奪い合うような口げんかをしている。
それを一生懸命収めようと話すのだめ。
「そうだ!真兄も一緒に行こうよ。服買いに行くんだ。」
「由比子もお兄ちゃまと一緒にいきたい!!」
「服か・・・。別に良いけど」
「やったぁ~。のだめちゃんも絶対だよ。」
「え、あ、その、のだめはイイですよ。メイドの仕事もあるし、帰ってこないと。」
そう言って、断ろうとしている。
さっきまで「一緒に行きましょうね」とか言っていたのに、俺の話が出た途端・・・。
なんだか、気に入らない・・・。
話しがどうにも、落ち着かない中、母さんが起きてきた。
そして、話しの概要を由比子が話して聞かせる。すると、
「のだめちゃん。由比子と俊彦、それに日本が久しぶりの真一とだけで買い物行かせるのはちょっと心配なの。
一緒に行ってくれるとうれしいんだけど・・・。」
「ギャボッ、そんな私が行っても迷子になるだけですし・・・」
「いいのよ。由比子も俊彦も一緒がいいらしいし。真一はおまけよ。」
「俺がおまけかよ!」
「ねぇ、お願い~!のだめちゃん!!」
由比子はまだ諦め切れなくて、のだめにしがみつく。
「でも・・・。真一様が・・・。」
「あっ、そうか。そうよね。」
「何が?」
不機嫌オーラの俺を見ながら、母さんは少し笑ってやがる。
だから何なんだ?
「のだめちゃんは、生徒。あなたは先生。一緒にいるところ見られて困るのはあなただからよ。」
「あ。」
そうだ、忘れてた。あいつは生徒で、その担任なんなんだ、俺・・・。
なんだか気に入らない事ばかりが、頭の中をうずまいていたが、
そんな中、のだめは俺の事を考えて断ろうとしていた。
(どっちがガキだよ・・・。)
ため息をついて、「俺はいいから」と言って、結局当初の約束どおり、由比子と俊彦とのだめで買い物に行ってくるらしい。
「すみません。真一様。」
「いいよ。最初からそういう話だったし。」
「じゃぁ、お土産買ってきますね?」
そう言って、俺にまで気を使うのだめ。
幼さの残る顔なのに、たまに見せる大人びた顔。
それが、家での印象。
それから、俺は職員会議があるから、先に家を出た。
そのときも、玄関先でかばんを渡されながら「いってらっしゃいませ」と
あのお辞儀をされ、少し呆気に取られながら学校へ向かった。
* * *
職員会議も終わり、予鈴が鳴るのを待っていると、
「おお~い、千秋~!」
「峰か」
「何だよ、相変わらず同級生に冷てぇな」
高校が同じだった、峰。
どうやら、今は体育教師として、この学園に在任する教師らしい。
よくあの頭で教師になんかなれたもんだ。
いつも俺のノートを目当てに来るようなやつで、
嫌だと断り続けても、ずっと付きまとっていたような奴。
「お前、3-Aの担任なんだろ?新任早々ずいぶん有望されちゃってるじゃん。」
「別に」
確かに、3年って受験とかいろいろあるだろうに、いいのか俺でなんて思ったけど。
「それに、お前のクラスの「のだめ」いるだろ?」
「はぁ?」
なんでここで、のだめの事が出るんだ?
「あいつ、いい意味でも悪い意味でも目立つから、注意しろよ。」
「なんだそれ。」
「あの顔を見れば、わかるだろ。」
なんなんだそれ。
まぁ、確かに他の生徒と比べればカワイイ方に入るんだろう。
「どこか落ち着かないから、いろいろヘマやらかすんだよ。」
「えっ?」
「でもそこが、カワイイってファンクラブまでできてるみたいだし。」
ファンクラブまであるのには驚いた。
そもそもヘマって何をやらかすんだ?
「いつも怪我するから、清良のところへ毎日のように行っているみたいだし。」
清良って、ああ保険医のか。
毎日怪我って、どんだけ鈍くさいんだ?
そうこうしている間に、3年のクラスがならぶ教室棟へ着く。
まだまだ、予鈴前だから、生徒がちらほら廊下を歩いていく。
そんな中、のだめがいた。
他のクラスのやつらものだめがいるあたりに群がっている。
その中央にいるのだめは、ニコニコと笑っていた。
「ほら、そろそろ予鈴が鳴るから、教室戻れ~」なんて、他の先生が言うのを聞いて、
生徒達が、それぞれの教室へ戻っていく。
そんな中、男子生徒たちが
「やっぱりのだめちゃんカワイイよなぁ。」
「ああ、春休み中会えないうちにまた綺麗になってるし。」
「彼氏いるのかなぁ?」
「そんな噂聞いたこと無いけど。」
「俺、今年卒業だし、告白しようかな。」
お前本気かよ~とか、言いながらその生徒は廊下を走っていった。
どうやら、峰の言うとおり、のだめはモテるらしい。
さっきの人だかりもほとんどが男子生徒だったみたいだし。
のだめの顔を見たけど、そんなの風に好意を持ってもらっているなんて、思っていないんだろうな。
予鈴が鳴り、教室へ足を踏み入れる。
俺が来たことを悟り、生徒達が席に着き始める。
本鈴が鳴り、HRを始める。
そして、点呼が終わり。
「今日は、これから各委員会・係の担当を決めるから」
ということで、学級委員・体育委員など各教科ごとの担当が決まっていく。
そんな中、のだめはくじ引きの末、数学教科の担当係となったらしい。
「ギャボッ!」
他の生徒達に、いいなぁなんて言われているが、
当の本人は、なんだか浮かない顔。
なんなんだ?
「じゃぁ、とりあえず決まったから、教科担当係は放課後、担当の先生に挨拶に行ってくれ。
各委員は、明日委員会があるから、それに参加。」
そして、HRも終わる。
次の授業は、数学ではないから、俺は廊下へ出ようとした。
その前にそうだ、
「野田!」
「ギャボ!はい」
「放課後、数学教官室来てくれ。」
「はい。・・・わかりました。」
だから、なんなんだその拒否するような反応は?
そんなに嫌なのか?俺の近くにいるの。
なんだか、モンモンとしながら、教室を出て、数学教官室へ戻った。
* * *
そして、放課後。
「失礼します。」
「ああ、野田か。」
ドアをノックして、入ってきた野田を見て、俺は近くにあった椅子に座るように促す。
「明日から、よろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそ。」
今この部屋にいるのは、俺とのだめだけ。
なんだか、そわそわする。
「あのぅ、先生?」
「ああ、なんか、落ち着かないんだよな。お前がここにいるの。」
「ウキュ?」
「家に帰ってもいるし。なんか学校にいる感覚がなくなる。」
のだめは悪くないのに「すみません」なんて口にしている。
「ところで、お前。親とかは?」
「・・・あれっ?征子様から聞いていらっしゃいまセンか?」
「何も・・・。」
「居ません。5歳の時交通事故で。ヘヘ」
そう、少し寂しそうに笑うのだめ。
「ご、ごめん。」
「謝るとこじゃないデスよ。」
そこで、俺はのだめの生い立ちを聞いたんだ。
親が亡くなって、しばらくは父方の祖父母に面倒を見てもらっていた。
けれどそれも金銭面的に厳しくなって施設へ引き取られたこと。
弟がいるけど、弟は別の家庭へ引き取られていること。
中学卒業と共に以前暮らした事のある東京へ仕事探しに来たこと。
そして、今現在三善の家のメイドをしていること。
その話しを聞いているなか、俺がどんなに恵まれた生活をしてきたかがわかった。
両親が離婚して、母親一人だったが、帰ってきた日本には、母さんの兄弟の家族がいた。
それも、俗に言う金持ちの家。
食べることも学ぶことも何に対しても不自由を感じたことがない。
俺が、パリに留学すると言ったときも二つ返事でOKしてくれた。
のだめの話しを聞いていると、俺は26年間のほほんと生活してきたように感じた。
「こんな話、面白くないですから。もう終わりでイイデスカ?」
「あ・・・、ああ。思い出したくないことまで思い出させてごめんな。」
今日というか、ここ何日かしか付き合いがないが、
家の中の、大人びた表情。周りを気を配るところ。
学校での、やっぱり子どもなんだと感じる表情。以外にもモテていること。
そして、両極端のような表情を見せる、のだめの生い立ち。
きっと、ただの担任としてなら、気づかなかっただろう表情も沢山見ているような気がする。
それは、何故か嬉しいというおかしな感情が俺の中にあった。
ふつふつと湧き上がる得体のしれない感情に、苛まれる真一くんです。
楽しんでいただけてますでしょうか?
引き続きお付き合いお願いします!