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の/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、他の二次創作・二次小説の館です。 ご不快な方、ご理解頂けない方は、ご遠慮下さい。 かなりな、ムラッ気がありますので、更新はまちまちです・・・(爆)
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更新します。

事故に逢ったのだめちゃん。

そして、のだめが隠してた事実を知った真一くん。

二人がやっと、本当の意味での「再会」を果たします。

では、続きからドウゾvv

22.幽霊

なんだか、ふわふわする感覚に気づいて目を開けた。
そこには、知らない天井が広がっていて・・・。
どこだろうココ?と頭の中で考えを巡らせた瞬間。
自分の身体も無意識に動いた。

ふわふわっていうか・・・浮いてる?!

そう気づいたのは、今目の前に移る光景を見たから。
手術室らしい部屋の中を、医師や看護士が忙しく動く。
その廊下側には、ターニャ・・・それに・・・

『真一くん・・・』

部屋の中央には、ありえないけど、
のだめが寝ていた。

これって、俗に言う『幽体離脱』ってやつですか?
いや、幽体離脱なのかな?
実は、もう死ぬからココにいるのかな?
意識を『死』という言葉に寄せた一瞬後、世界が暗転した!


次に気づいた時、のだめは川のほとりに立ち尽くしていた。

ここは?どこですかね?

周りを見ると、のだめと同じぐらいの女の人や、おじぃちゃん、はたまた小さな男の子までが、
一目散に川を渡るため、水中へ歩んでいった。
淡々と進む人たちの流れを見て、その人たちが歩いていく行き先を見つめた。

暖かい光をたたえた対岸・・・。

のだめもあそこに行きたいデス・・・。

そう思って歩き出そうとした瞬間、のだめの手に衝撃が伝わった。
慌てて振り返ると、そこには子どもが一人のだめの手を握っていた。

『誰?』
『まだ・・・、ダメだよ・・・。』
『えっ?』
『・・・ほらっ、呼んでる・・・。』

子どもは女の子なのか男の子なのかわからない。
けれどその子が空へ耳を傾けるような行為をしたので、のだめも真似をして耳をそばだてた。

『・・・のだめ、のだめ、のだめ、・・・恵、恵、頼むから・・・、恵帰って来い!』

真一くんの・・・声?のだめを呼んでる?

『ほら、呼んでるよ。対岸へ行ったら戻れなくなる。』
『戻れなくなる?』
『どうしたいの?戻るの?それとも・・・』
『・・・真一くん・・・。・・・会いたい・・・』
『じゃぁ、一緒に戻ろう?』

表情は分からなかったが、小首を傾げたので同意を求められたのは分かった。
そう、あの声に呼ばれた。
のだめは、あの声の人の前に、真一くんの元へ戻りたい!

そう思ったとき、世界がパアァッと光り輝いた!
眩しい!目が開けられません!

『ここまでくれば、大丈夫だね?』
『あなたは誰?』
『もうすぐ会えるよ。楽しみだね・・・かあ・・・。』
『えっ?誰!聞こえない!』

輝きを増していく世界に、目を開けていられなくて、ただただ本能的に目を強くつぶっていた。







病院へ搬送途中の車内に、アラーム音が響く。

『出血性ショックを起こしています!』
『意外に腕の傷からの出血が多い!止血剤!』
『心臓マッサージ開始する!酸素入れて!』
『腰強打している箇所が見られます!』
『切迫流産か!?出血は?』
『少しですが、出血が見られます!』
『とりあえず、その内容を搬送先に伝えて!』

血の気のない顔で、ストレッチャーに横たわるのだめ。
心電図のアラーム音が車内に鳴り響いた瞬間、俺は叫んでいた。

「・・・のだめ!のだめ!のだめ!・・・恵・・・恵!頼むから帰って来い!」

そのまま病院へ着き、ガラガラと手術室へ運ばれていくのだめに着いて走っていた。

「こちらで、お待ちください。処置に入りますので。」

看護士に、ここまでだと停められた。
でも、俺は食い下がった。のだめの近くに!

「近くに居させてください!」
「処置の邪魔になります。大丈夫。私たちに任せて下さい!」

そう言って、その人も手術室へ入っていった。
「手術中」の掲示に明かりが灯る。

「・・・恵。・・・助かってくれ!」

このとき俺は、柄にもなく神様に願っていた。
どうかお願いです。
のだめを・・・恵を助けてください!

ただただ、握り締めた拳をさらに強く握った。





ポンッという音とともに「手術中」の掲示から明かりが消えた。
その後、手術室の自動ドアが開いたのを確認して、俺は立ち上がった。
隣に居たターニャも俺と一緒に立ち上がった。

「のだめ!」
「恵!」

入ってきた時と同様に、否、今回は移動式のベットに横たわった状態で、
のだめが手術室から出てきた。

「先生・・・。のだめは?」
「大丈夫。出血も止まりましたし、処置が早かったおかげで、後遺症も起こらないでしょう。」
「・・・良かった・・・。」
「それに・・・」

医師に様態を聞くターニャの声に耳を傾けながら、俺はただのだめの顔を見つめていた。
良かった、血の気も戻ってるし、
そっと握った手は暖かく、生きている証拠にトクントクンと脈を打っているのがわかった。

「お腹の中の子どもも無事です。切迫流産の兆候が見られましたが、処置を施せたので大丈夫でしょう。」

その言葉を聴いて、俺の中の緊張の糸が切れた。
ただただ、涙が出てきてしょうがなかった。

「・・・先生。ありがとうございましたっ!」
「さ、病室へ。行きましょう。」

心の底から、礼をしていた。
のだめが、恵が助かった。
それに、恵のお腹の中には子どもが居て、それは俺たちの子。・・・その子も無事・・・。
嬉しくて嬉しくて涙が出ていた。


病室へ入り、一通り看護士から処置内容の説明をされた。
一時的に出血性ショックを起こしたが、救急隊の処置でカバーできたということ。
恐らく、転倒した際、腰を強打し、少量であるが出血が見られた。
しかし、切迫流産の兆しが見えただけで、今のところ問題はないという。
暫くは、入院をして、腕の治療と、子どもの経過を見たほうが良いだろうと。
結局、2~3週間は入院することと医師が診断したと話された。

とにもかくにも、のだめは助かったんだ!
そう思った瞬間また、いつの間にか張っていた緊張の糸が途切れて、俺は近くの椅子に座り込んでいた。
看護士も医師も部屋を出て行った後、

「私、他の皆にも連絡してくるね!」
「・・・ああ。頼む。」

そういって、ターニャが部屋をバタバタと出て行くのを見つめていた。
そのドアがぱたりと閉まりきると、のだめの顔へ目線を移した。

記憶をなくした俺に、
はじめましてと挨拶をして、
思い出したくないといった俺に、がんばりましょうと笑いかけ、
別れを口にした俺に、幸せでしたと微笑んだのだめ・・・。

そのもっと奥深くに、俺も予想もできないような塊を飲み込んでいた。

お腹の中に、子どもが・・・。その父親は、目の前の記憶をなくした俺。

本当なら、パリへ帰ってきた日、大々的に報告をして、
喜びを分かち合う筈だったのに・・・現実は正反対だった。

『のだめちゃんは、自分で考えて前に進んでいるんですよ。』

ジジィが言っていた言葉がよみがえる。
のだめは、必死にお腹の中の子どもを守ろうとしてたんだ。
だから、・・・俺と別れる決心をして・・・。

家を出て、こいつ何処に行こうとしてたんだ?
やっぱり、好きな人ができたっていうのは嘘なんだろ?

早く目を覚ませよ!
聞きたいことは、聞かせたいことは山程あるんだ。

俺は、ベットに横たわるのだめの頬を右手で捉えて、
白雪姫のように、・・・目覚めのキスを送った。


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