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の/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、他の二次創作・二次小説の館です。 ご不快な方、ご理解頂けない方は、ご遠慮下さい。 かなりな、ムラッ気がありますので、更新はまちまちです・・・(爆)
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はい、更新します。

ん~、ちょっと今日は短めです。

では、続きからドウゾvv

19.幻想


思い出した。そうだ・・・。
ズボンのポケットから財布を取り出し、中を探る。
そして、出てきたチケット。

「今日はのだめちゃんのリサイタルでしょ?」
「・・・でしたね。」

だから、ターニャが引き止めようとしてたんだ!
そう気づくと、身体が一気に疲れた気がする。

なんで、俺はいつものだめのことになると、あいつの一挙手一投足で動揺してしまうのだろうか・・・。
数々の思い出をひっくり返してみても、
あいつが蛍になれば必死に引き上げてやろうと、一緒にピアノを弾いたり、
類まれなる天性の素質を持っていながら、「幼稚園の先生」の夢を語るあいつにショックを受けるとともに、上を目指さないのかと説得するように話したり、
そしてコンクールに失敗して、最初俺の誘いを断ったやつをわざわざ実家にまで迎えに行ったり、
おれが、急遽Ruiとコンチェルトした事で、Ruiの真似するように、ピアノを弾き続けるあいつを止めるためにキスをしたり、
初めてのリサイタルで聞いたピアノの音。いつも一緒にいるようで、ふらふらと旅立って歩き回って帰ってくるあいつを見失わないように覚悟をして。

いつか、松田さんに言った「抵抗するのに疲れて・・・」っていう言葉は本当だけど、本当じゃない。
あいつが、隣に居ることが俺の中で普通になっているからだ。

あいつと出会ってからというものの、何故かあいつは隣に居て、
最初は必死に引き剥がしていたのに、いつの間にかあいつが隣に居るのが当たり前になって、
実家にまで迎えに行って、一緒にフランスにまで来て、
指揮コンの優勝してパリデビューとともに変態の森へ足を踏み入れる頃には、あいつが隣に居ることに居心地がよくなって、

当たり前なっていたんだ。それを本当にしようとプロポーズの約束をして・・・。
のだめが、俺の近くに居ることを望んだんだ。

一歩一歩でも、確実に歩み寄る。互いの存在に・・・。
今目の前にいる師匠にしてみれば、亀のようデスねと言われそうだが、このテンポが俺らのリズム。

そして、互いの歩調を互いに確かめながら、同じ「音楽」という道を歩いていく。

今回不慮の事故で、その片割である俺だけが記憶を失った。
それとともに、硬く握っていた手を振り解いた。

そこで、あいつは留まることはなかったんだ。
ちゃんと自分で考えて考えて、「前に進む」を選んでいた。
そこに俺は今からでも間に合うのだろうか・・・。

『ちゃんと俺の後ろ着いて来いよ』
『のだめが追い抜いちゃうかもデスよ?』

そう、その時俺はこたえたんだ。

『そうなったら、もう一度追い抜いてやる。』

答えは出た。
先に進んだのだめの背中を精一杯追いかけて捕まえてやる。
どんなに逃げられようと、しがみついてやる。

さっきまでとは違って、頭は冴えていた。
やっと目に力が戻ったような気がした。







ランベール夫人に挨拶をして、軽くリハーサルも兼ねて会場のピアノを前にした。
椅子の高さを合わせて、ポーン♪とチューニング音のAの音を響かせる。
やっぱり、音が響き、広がる。
サロンとして使用するこの部屋は、しっかりと空調と音響設備が整っている。
耳にAの音を響かせ、馴染ませ、全曲の頭部分を流した。

そうだと思い出して、鞄の中からオクレール夫人のサンドイッチを取り出した。
近頃、つわりも出てきたせいか、こういう乾燥的なものしか食せなくなってきている。
あんだけ大好きだった御飯も、納豆も、気分が最悪の時は受け付けなくなっていた。
毎日健全に取れる炭水化物としてパンをよく食べるようになっていた。
サンドイッチの中身は、きゅうりとハムとレタスとチーズとシンプルなものだった。
楽譜をパラパラと捲りながら、サンドイッチをほうばる。

お腹の中の子のためにも、しっかり食事は取りなさい。とオクレール夫妻に言われた。
何かに必死になったり、気持ちが傾いてしまうと、どうも食事やら風呂やら日常生活を忘れがちになる。
それは、あの人も同じで・・・。

オクレール宅にて、たまたま朝ご飯を要らないと拒否したことがあった。
そしたら、その日貧血でめまいが起こった。
それで、ああこの子ココにいるんだと、再度思った。
まぁ、目一杯オクレール夫妻に怒られましたケド・・・。

もっとしっかりしないと、自分のためにも、この子のためにも・・・。
そうして、サンドイッチを持たない手でお腹を少し擦る・・・。
まだまだ大きさ的には1cmを満たすか満たさないかの存在。
けど、この子の為ならばのだめがちゃんと前を向ける。

別れを決意して、少々今回のリサイタル曲目を変えた。
いきなり変えるの?とオクレールには嫌な顔されたが、
今回のリサイタルはただの演奏会ではなくなってしまった。
お世話になった人たちに、しばらく会えなくなるから、さよならを音楽に乗せて伝えなければ・・・。

ピアノを部屋の奥に設置し、窓ガラスに向けて半円形に座席が並ぶ。
その座席を越えて、外を垣間見ると、もうすでに日が暮れ始め、オレンジの世界が広がっていた。













宣言どおり、短めです。
歩み寄ろうと心に決める真一くんと
離れることを決めたものの未練にさいなまれるのだめちゃん・・・。
さ、次回は演奏会が始まります(予定)!

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無題
記憶の隅の住人の連載が大好きです!
お話が更新されるたびにワクワクしながら読ませていただいています。
真美 2009/08/27(Thu)03:27:30 編集
Re:無題
コメントありがとうございます。
そして、気に入っていただけているみたいで嬉しいです。
起伏が激しい更新ですが、引き続きお付き合いいただきますよう。
よろしくお願いします。
のんのん  【2009/08/27 03:30】
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