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の/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、他の二次創作・二次小説の館です。 ご不快な方、ご理解頂けない方は、ご遠慮下さい。 かなりな、ムラッ気がありますので、更新はまちまちです・・・(爆)
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サクサク更新です。

明日から仕事開始ですし。

今から憂鬱です・・・。

では、爆弾投下します。

やっと彼が起きます。


では、続きからドウゾvv

16.思い出したまえ


マルレ・オケ練習場――――

あれから、3日経っていた。
あれからっていうのは、のだめが最後に俺の部屋に来てから。

あの日から俺は何だか空回りをしている気がする。
手の上に掴めそうだったオケの音はスルリと落ち、本番まであまり時間がないのに音が完成しない。
それどころか、イライラがオケの空気を悪くする一方だった。

コンマスが、

「今日はこれ以上やっても埒が明かない。終わりだ。」

その鶴の一声で練習は早めに終わった。
帰り際コンマスに、

「いい加減にしろ。はやく調子戻せ。」
「・・・はい・・・。」

じゃなと帰っていく。
その背中を見送るしかできなかった。

音は出ているんだ。練習していたのがわかる。
けどそれを俺が引き出せない。
こんなの指揮者失格だろ・・・。

前にもこんなこと沢山あったのに、その時俺はどうやって乗り越えてきたんだろ?

その時聞こえた気がした。

『大丈夫デスよーぅ』

誰?と思って回りを見渡してみても、俺に対して話しかける奴なんか居なかった。



練習場を後にして、帰宅するために街へ繰り出した。
車はあの事故のせいで、しばらく乗れそうになかった。
また、一つ苦手なものが増えた気がする。
飛行機だろそれに海。あと車・・・。俺どうやって生活すりゃいいだよ。

前に進みたい・・・
忘れるために・・・
あいつの声がよみがえる。
あいつが何か踏ん切りをつけたいという気持ちがわかった。
それは俺も同じだったから。
だから、あいつの言う通り、別れを口にした。
だが、それを口にした途端、辛い・悲しい・寂しいの負の感情に身体が包まれる。
それは今も同じ。
ただ、頭は正常らしく。俺はわかっているんだ。
「あいつにはもう二度と会えない」ってことだけは・・・。

自宅へ着き、誰も居ないのに「ただいま」といって家に入った。

この家に移って迎えてくれる人なんて居たこと無いはずなのに・・・。

机の上に、持っていた鞄を下ろして、総譜を引き出した。
そこで目に留まったのは、あのCDだった。
借りるのではなく、貰ったことでいつでも聞けるからと放っておいたCD。
時間ができたからと思い、オーディオに電源を入れてCDを挿入する。
再生ボタンを押そうとして、何故か躊躇した・・・。

これを聞いたら何かがわかるのか?

そんな風に感じた。
そして、再生ボタンを押す。

ソファーに移動して、音へ集中した。

『ねぇ、何弾くの?』
ターニャの声だ。
『内緒です。黙って聞いて下さい☆』
のだめの声・・・。
『思い立った勢いで部屋来るんだから・・・』
『あれれ、ラブラブ邪魔しちゃいました?』
『ブッ!うるさい!いいからさっさとやりなさい!』
『おおう、ピンクオーラですね~、ウキュキュ』

話しが途切れない。演奏は?

『ちょっと二人とも、もう録音始めてるんだよ?』
『ありゃ、黒木くん。すみません。では始めますね。ムン』

そして、静かになり、ラー♪とチューニング音が響く・・・。

そして、はじまったのは

ラヴェル「水の戯れ」

音楽が始まった瞬間から、俺は海に潜っていくような感覚に囚われる。

実際なら、海になんて潜ることなんてできない。できるはずがない。

息が苦しくなって、早く海面に出たいと思う。

けど、今俺を取り巻いている音の海は、俺を居心地よく揺らす。

そして、最後、その音の終焉に向かって浮上する感覚。

そして、プハッと海面へ頭を出し息を吸い込む。

太陽の光で海面がキラキラと煌いた----。


その瞬間だった。
『せんぱ~い、今日の御飯ナンデスカ?』
『またカズオですかぁ~ム~ン』
『良く記憶に残ってないんで、もう一度お願いします。』
『のだめも頑張らないと・・・ですね。』
『先輩~!充電~~~~!!』
『シャツ下さい!匂いの自家発電です!』
『先輩ちょっと聞いて下さい。今度の演奏会でやるんですけど・・・。』
『真一くん・・・。大好きです。』

そして、そうだ・・・あの日言っていた

『幸せすぎて怖いぐらいです。』

そう言って微笑むのだめが見えた。
思い出した、全部・・・全部!

俺の中に開いていた空白は埋められた。
身体全体にやっと血が通った感じがする。

そのあと、すぐに血の気が引いた。

俺は何を言った?
あいつに・・・。

『お前誰だ?』
『その程度の存在だったんだろ?』
『俺、思い出すつもりないから・・・』
『俺には必要ない人間だと思う。別れよう・・・』

なにもかも覚えていた。
自分を自分で殴りたかった。
なんで忘れた?最愛の存在を・・・。
噛み締めた歯から、ギリッと音がした。
どこかを噛み切ったみたいで、血の味がする・・・。

最後に会った日のだめが言っていた言葉、そして態度を思い出した。
あいつ目を逸らしてたよな?『好きな人が出来た』って言ったとき・・・。
まさか、記憶をなくした俺を見限って他の男へ走ったのか?
いや、そんなはずはない。でも・・・。

もう、迷っている時間は無かった。
俺は上着・財布・鍵を手に部屋を飛び出していた。

部屋の中には、2曲目の

ベートーベン 「悲愴」が鳴り響いていた・・・。














はい、やっとこさ思い出しましたのよ千秋さん。

お待たせしました。


最初から、ちょっと思ってたのはラヴェルの水の戯れは出そうと考えていた事。

実際の海には近寄れないけど、音の海になら入り込めると思ったので・・・。


では、お気に召していただけると嬉しいです。

引き続きお付き合いのほどよろしくお願いしますvv

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