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柴咲コウさんの歌、大好きです。
特に歌詞が・・・。
久しぶりに聞いて、少し
ちあのだに当てはまるナァと思ったので、
その歌詞を元にお話しをば・・・
最後に、その曲教えますvv。
では続きからドウゾvv
【見えないもの】
今朝は、起きて朝ゴハン用・お昼ゴハン用のおにぎりを作り、
少し黒く(実際は真っ黒)になった、玉子焼きを食べ、
必要な道具を持って、部屋をでる。
いつも通り、ターニャやフランクたちと学校へ行き、
アナリーゼも近頃だとそつなくこなせてきている・・・ハズです。
そして、オクレール先生のレッスンを受けて、
それでもまだまだ足りないから、リュカを誘って、練習室へ直行。
ブラムス・ショパン・ベトベン・・・。
とりあえず、知っていて、弾きたいと思った順に弾いていく。
ずっと集中していたのか、リュカに声をかけられて、今6時を過ぎたのに気づく。
まだまだ弾き足りない。って言ったら、ターニャに怒られました。
それに、「ちゃんと思っていること言わないと伝わらないわよ」なんて言われました。
何の事?と聞くと、「あんなピアノ弾いてるんだから誰でもわかるわよ!」と言う。
その後、ターニャの部屋に行って、皆でゴハンを食べた。
少しお酒も入って、ふわふわ楽しい気持ちが少し出る。
それでも・・・・
夜10時。明日も学校ということで、お開きになる。
のだめは部屋へ、元真一の部屋へ帰ってきた。
「ただいま~・・・。って誰も居ないんですよネェ・・・」
そう、誰もいない。
先輩は、ミルヒーについて2ヶ月半も前から旅立ってしまっている。
最初の1週間は、平気。
だって、いっぱい充電しあった。
でも、次の1週間は、少しずつ充電が切れはじめた。
少し、寂しい。
その次の1週間は、ある記事を見て、すごくショックで・・・。
その次の1週間は、その記事のせいで、先輩につらく当たってしまって・・・。
その次の1週間は、鳴らない携帯を握りしめて、ながめることしかできなくて・・・。
その次の1週間は、ただただ、夜が怖い・・・。だからピアノに向かう。
そのまま3週間近く経っていた。
先輩からの電話まだない。
きっと、私からしないと掛けてこないような気がします。
部屋に入ってすぐのベットに、倒れこむように埋もれた。
手を頭に持っていこうとした時に触れた、本・・・。
その本には、
千秋真一とRuiの、コンチェルトについて書かれていた。
一言で言うなら、「賞賛」。
先輩が振るんだから、当たり前ですと思う自分。
でも、いつもなら教えてくれる。そう、演奏前に・・・。
今回は違った。
今回もかな?1回目もいきなりだったし・・・。
またミルヒーの代振り・・・。ワカッテマスよ・・・。先輩はミルヒーの弟子だから・・・。
でも、その本を、週刊誌を見る前に、先輩から教えてほしかっただけ。
わかってるんです。
仕事だからって、
しかたないって、
頭で分かっていることを、先輩が繰り返すから・・・。
「もういいです!」と言って、電話を切ってしまったのはのだめデス・・・。
のだめが、今ピアノに向かうのには。
夢があるから。
先輩とゴールデンコンビになるため・・・。
それは、先輩も望んでくれている事だって、わかってる。
でもでも・・・。それは目に見えない。
どちらかが、冗談だと言ったら、跡形もなく消えてしまうようなもろい絆。
きっと、Ruiとコンチェルトする時には、「契約書」が存在するんでしょ?
それは形にした、証。
のだめには、何もありません。
ただ、のだめの記憶に、身体に、命に刻み込まれているだけで、目に見ることができない。
グルグル回って、のだめは先輩に何をしてほしいのかまで分からなくなってきている。
だから、無理に笑って、ガッコ行って、皆とおしゃべりして騒いではしゃいで・・・。
一人帰ってきた部屋でボーッとする。
そんな毎日を近頃は繰り返している。
今日も、このまま近頃の毎日と同じように、終わっていくのかな思って、
「お風呂・・・」入ろうと思って、風呂場のドアを開けた。
ジジィについて、演奏旅行に出かけたのは、約2ヶ月半近く前。
急遽トラブルで、俺はジジィの代わりに、指揮棒を振るった。
それは、コンチェルト。
しかも、相手はRui。
のだめにとっては鬼門のRui。
いつもなら、気を使って先に連絡をしておく。
連絡すると「わかりました。大丈夫ですから、・・・頑張って」とのだめが言ってくれる。
でも、今回は急遽だった。
1番最初もそうだった。
しかも、今回は前回よりも大きく取り上げられたのだ。週刊誌に・・・。
その週刊誌をのだめが目にする前に連絡するつもりだった。
でも、出来なかった。
のだめが先に見ていた。知ってしまった。
急いで、電話もした。
しょうがない事。仕事だったんだ。と言う。
きっと、のだめも分かってくれると思った。
けど、それと反する。拒絶の言葉が返ってきた。
機械音が流れる携帯をしばらく握っていた。
ここが、俺の部屋だったら。
のだめの部屋の隣だったら。
すぐに近くに行って、抱きしめてゴメンと言えるのに。
はるか遠くに離れる今は、できない。
それから1週間は、携帯を見つめて、掛けようか悩んで。
その次の1週間は、いつでも掛かってきてもいいように、携帯を眺めて。
その次の1週間は、ホテルのベットサイドに置いた、携帯を眺めて。
そうして、3週間が経っていた。
ここまで来れば、ジジィにもばれた。
「のだめちゃんの所に帰りなさーい」と言って、送り出された。
エリーゼが苦い顔をしているということは、本来ならまだ仕事は終わってない。
けど、今回は、ジジィの好意に甘えることにした。
早く、あいつの顔を見なければ。
そして、・・・。
俺は、荷物をそのまま引きずり、のだめの部屋へ、元の自分の部屋のドアの前に来ていた。
中庭から見たこの部屋には、電気が灯っていなかった。
出かけているかもとは思わなかった。きっとあいつはこの中にいる。
俺は、合鍵を使って部屋へ入った。
しのび足で、リビングまで足を動かす。
その時見たのは・・・。
お風呂から出て、リビングへ入る。
「ちゃんと暖まったか?」なんていう先輩の幻聴まで聞こえてくる。
居ないのに・・・。
リビングの電気も寝室の電気も全て消したまま、ピアノの椅子に座る。
ふと外を見る。
仰ぎ見た空には、真ん丸な月が浮かぶ。
キレイだなぁ・・・なんて思っていた。
その時、小さい衝撃があった。
自分の背中に。
そして、
「ただいま。・・・それにごめん。」
先輩の声だった。
これまで一生懸命堪えてたんですよ。
ごめんと謝られても先輩は何も悪いことしていない。
そう伝えたいのに、声がつまる。
その変わりに、
涙が出た。
いつの間にか、真正面から抱きしめられる中、泣き続けた。
やっと落ち着いてきたのだめは、俺の胸から顔を上げた。
そして、こちらへ顔を向けた。
「ぶっ、ひでぇ顔・・・。」
「ムー、・・・ヒック」
涙でぼろぼろの顔。
でも、すごく愛しく思えた。
その顔を見ながら、再度ゴメンと伝える。
「先輩は悪くないから・・・。」
わかってます。仕事なんだからといって、少し微笑んでくれる。
「でも・・・。」
「でも?」
「のだめには何もないんですよ。」
「何が?」
「見えないんです。」
何が?わからない。
ゆっくりでいいから話せと言うと、
先輩が、のだめとコンチェルトやるのを夢にしてくれているのは分かる。
でも、それは形がないもの。
つまりは、証がほしいという事。
でも、無理ですよね?と苦笑する。
記憶が、身体が覚えているだけなんだからと言うのだめ。
「だったら、何度でも刻み付けてやるよ。お前の記憶に、・・・身体に!」
「えっ?」
そう言って、俺はのだめを抱きしめた。力いっぱい・・・。
「お前が望むなら、指きりでも、何でもしてやる。だから・・・、早く追いつけ。」
「・・・・・・。」
「俺は、高みで待ってるから、お前が追いつくの。」
「・・・・・。」
「ホラッ、返事!」
「ギャボッ、は・ハイ!」
慌てて、驚いて返事をしてしまった。
そして、また抱きしめられた。
今度は、顎に手を添えられて上を向かされた。
先輩の唇が落ちてくる。
最初は啄ばむように、
頑張れ、ゴメン、信じてるからと声が聞こえてきそうなキス。
それも、だんだんと深いものに変わっていく。
ただただ、互いを求めるように、貪るようなキスへ。
そっと、離れて双方の瞳に、自分の姿を映す。
そして、ふわりと微笑む先輩・・・。
白く、キレイな顔で微笑むのだめ・・・。
「のだめ・・・。弾きます、ピアノ。」
「うん・・・。」
「早く、追いつくから。」
「ああ。」
「待っててくれますか?」
「待ってる。」
再度、記憶に身体に命に誓おう。
先輩と奏でる音楽をいつか紡ぎ出せるように・・・。
「でも、今は・・・。」
「ん、わかってる。少しこのままで・・・。」
真っ暗なリビングの床に、月明かりに照らされた二つの影がいつまでも寄り添っていた。
end
柴咲コウさんの「冬空」っていう曲です。
すごく短い曲なんですが、
一番最初に聞いたとき、車運転中にも関わらず、
ググッと捕らえられてしまいました。
(運転しながら泣きました。周りから見たらかなりおかしい人間!!)
見えないものを求めるのは、すごく苦しいですよね。
目に見えるものは、求めやすいけど、すんなり手にしてしまった後、
なんともいえない虚無感が広がる気がします。
コメントいただけるとうれしいです。